なぜ「難しい英語」を使うほど、スコアが下がるのか?

IELTS Speakingで高いスコアを取るには、難しい単語や複雑な文法をたくさん使わなければならない。そう考えている人は少なくありません。

もちろん、語彙や文法の幅は評価されます。しかし、難しそうな表現を使えば、自動的にスコアが上がるわけではありません。むしろ、自信のない表現を無理に使うことで、意味が不自然になったり、文法ミスが増えたりすることがあります。

たとえば、次の質問を考えてみましょう。

Do you think public transport should be cheaper?

難しい英語を使おうとすると、次のような回答になるかもしれません。

Public transport plays an indispensable and quintessential role in our contemporary society, so the government should execute a reduction of the price.

一見すると高度な単語が並んでいます。しかし、日常的なスピーキングとしては硬すぎます。また、execute a reduction of the price も、この場面では不自然です。単語の意味を知っていても、実際にどのような語と一緒に使われるのかを理解していなければ、自然な英語にはなりません。

もっと簡潔に、次のように答えられます。

Yes, I think it should be cheaper because many people rely on buses and trains every day. Lower fares would particularly help students and low-income workers.

こちらの方が、意見、理由、具体的な対象が明確です。使われている単語は決して難しくありませんが、質問に直接答え、内容を自然に展開できています。

単語は「意味」だけでは使えない

新しい単語を覚えるとき、日本語訳だけを覚えていないでしょうか。

たとえば、strong が「強い」という意味だからといって、雨について strong rain と言うとは限りません。通常は heavy rain と表現します。同じように、「決定する」を単語ごとに直訳して do a decision とするのではなく、make a decision と言います。

このような、自然に組み合わされる語と語の関係をコロケーションと呼びます。

IELTSで語彙を増やすときは、単語単体ではなく、実際に使われる組み合わせや例文まで確認する必要があります。意味を説明できても、適切な場面や組み合わせが分からない単語は、本番で無理に使わない方が安全です。

複雑な文法も、自然に使えて初めて評価される

文法についても同じです。

高いスコアを狙って、慣れていない倒置や長い関係詞節を入れようとすると、話す速度が落ちたり、途中で文の構造を見失ったりします。

複雑な文法とは、長くて難解な文のことではありません。

たとえば、

If public transport were cheaper, more people would use it.

という仮定法の文は短いですが、質問に合った文法を正確に使えています。大切なのは、複雑に見せることではなく、伝えたい内容に適した構文を選ぶことです。

本番で使う前の4点チェック

新しい表現をSpeakingで使う前に、次の4点を確認してみましょう。

  1. 意味を自分の言葉で説明できるか
  2. どのような場面で使うか分かるか
  3. 一緒に使われる語を知っているか
  4. 考え込まずに例文を作れるか

どれか一つでも不安なら、より簡単で確実な表現に置き換えて構いません。

練習では、録音した自分の回答を聞き、「もっと難しく言えないか」だけではなく、「この表現は明確で、自然なんだろうか」と考えてみてください。

IELTS Speakingで評価されるのは、難しい英語を披露することではありません。質問を理解し、自分の考えを正確に、自然に伝える力です。

背伸びをした一文よりも、自信を持って使える英語を積み重ねる。その方が、本番でも安定した回答につながります。

IELTS WRITING & SPEAKING

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IELTSライティング精密添削IELTSスピーキング精密診断

監修:塚本 亮(『IELTSライティング完全攻略』著者)

『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』(旺文社)書影監修IELTS公認問題集を監修この記事の監修者・塚本亮は、旺文社『IELTSブリティッシュ・カウンシル公認問題集』の監修者です。